この記事では、Assassin's Creed Shadowsのインタラクティブミュージックシステムで使用されている、さまざまな戦略的技術を紹介します。AudiokineticのWwiseを使用したインテグレーションテクニックや、ダイナミックミュージックにおける概念的なアプローチと芸術的なアプローチの例を詳しく見ていきましょう。
Assassin's Creed Shadowsでは、プレイヤーは命を奪う忍びの奈緒江または強靭な侍の弥助の役割を演じて、戦国時代の日本を見て回ることができます。
私は電気音響とインタラクティブシステムを専門とする、作曲家のジュリアン・ホフです。Assassin's Creed Shadows(以下 AC Shadows)にはミュージックデザイナーとして参加しました。
探索ミュージックへの引き算アプローチ
非モノフォニックミュージックは、さまざまな音響エレメントを重ね合わせたり並び替えたりして作曲します。これらの要素には多様なスペクトル形態があり、サウンドの性質に基づき 、時間の経過に応じた形状、調和性、スペクトルバランス、テクスチャの粒度、その他の多くの条件によって定義できます。簡単にまとめると、音色と強弱です。
独自の組み合わせにより、これらのサウンドは以下のようになります。
- サウンドが互いにマスキングし、別のサウンドの存在によってサウンドの違いを認識することが難しくなります。
- サウンドが共存し、それぞれが独自の特徴をサウンドスケープ全体に加えます。
- サウンドが溶け合い、サウンドコンポーネントを合わせただけのものとは異なる、新しいものが生み出されます。
もちろん、これらの状態から可能となるあらゆる補間は、時間だけでなくリスナーの視点や注目点に応じて変わります。
AC Shadowsのミュージック制作に貢献した、才能豊かな2人組の作曲家であるThe Flightは、力の出し惜しみが全くない信頼できる存在であり、彼らの作品を個別トラックとして提供してもらいました。複雑に階層化された音楽作品の個々のトラックに携わったことがある人はご存じだと思いますが、こうしたオーケストレーション内の隠れた宝石は、それを取り出すことができる人の前にのみ姿を現します。
こうした思考に導かれて、私は引き算アプローチを取り入れ、探索ミュージックのバリエーションを広げました。この方法では、常に追加するのではなく、元の作品からエレメントを慎重に取り除くことで、独自のリスニング体験を生み出すことができます。
それによってゲーム内の探索ミュージックの曲ごとに5つのバリエーションが生まれました。それらはミュージックコンポーネントが多様に組み合わされています。これらのバリエーションはこの引き算アプローチを使用して編集されており、それぞれが同じ楽曲のユニークなリスニング観点を提供します。このミニマリストアプローチは、このゲームに取り入れられている優雅さや気品といった日本の美学にも合います。最終的には、慎重にこのサウンドデザインを選んだことで生まれた余白の中に、自然とその中で暮らす生き物のサウンドに満ち溢れたダイナミックサウンド環境が実現しています。
探索ミュージックと2つの考えられるバリエーション
それではAssassin's Creed Shadowsのミュージックシステムを深掘りしましょう。
影に隠れる
このゲームでは、光と影が重要な役割を果たします。照明によって主人公が見つかる可能性が変わり、巧みに影に隠れることが潜入成功の鍵となります。ミュージックはこうした緊張の瞬間に雰囲気を盛り上げたり、奈緒江が隠れている状況のわずかな変化を反映したりする上で、極めて重要な役割を果たします。
私たちはプログラマーのヒューゴ・プロバンシェの助けを借りて、プレイヤーが影に隠れている時は、動的に潜入ミュージックが変わるようなシステムの構築に取り組みました。プレイヤーの可視性と音響環境を直感的につなげて、本当に隠れているような感覚を高めることを目指しました。
これを実現するため、Wwiseを使用してイテレーションを何度も行い、最適なバランスになるよう微調整する必要がありました。実際にエフェクトが露骨すぎると、私たちはそのようなダイエジェティックな関係に慣れていないため、バグのように感じられる可能性があります。また、曖昧すぎると真実味に欠けます。
いくつかの制約を定めました。プレイヤーが奈緒江の役割を演じ、屋内にいる場合にのみ、このシステムが潜入ミュージックを変えることにしました。
Wwiseインテグレーションの特徴は次の通りです。
屋内にいる場合は、忍びのミュージックを専用AUXバスに送り、出力バスをミュートにします
AUXバスでは、プレイヤーの照明によってハイシェルフとローパスのカットオフ周波数が作動されます
プレイヤーの照明によって、アーリーリフレクションとドライレベルが作動されます![]()
スルーレートは、このタイプのリアクティブシステムを微調整するための主要パラメータです
シックスセンスのミュージック
奈緒江は高度な「忍者のセンス」を持っているため、近くにいる敵の気配を察知することができます。この優れた知覚力は、彼女の鋭い聴力と注意深く聞く力によって実現されています。
ゲームのこのモードでは特定のサウンドを強調し、ほかのサウンドを最小限にして、周囲の状況に関する極めて重要な情報をプレイヤーに与えています。ミュージックはこの機能をサポートする上で主要な役割を果たし、こうした重要な手掛かりを探す機会を作ります。
これを実現するため、ゲーム内のすべての潜入ミュージックと探索ミュージックの処理には、Reaperのデジタル信号処理チェーンを使用しています。興味深いことに、忍者センスを発動中にゲーム内で適用される「幻想的な効果を与える」特殊な視覚的処理から直接インスピレーションを受けて、次のDSPチェーンをデザインしました。
アレンジされた「忍者センス」のミュージックのDSPチェーン
忍者センスを発動する奈緒江
忍者センスはサブトラックレベルでインテグレートされます
危険と暗殺の機会
AC Shadowsでは忍びの奈緒江によって具現化された暗殺者のファンタジーが取り入れられており、潜入の場面が数多く用意されています。しかし弥助も特に弓を装備すると、攻撃的な方法を取ることができます。
オプションで非アクティブ化できる数多くのUI要素は、プレイヤーが脅威や脱出のチャンスを察知するのに役立ち、NPCによって見つかることを予測できます。ミュージックはゲームプレイのこの重要な側面をサポートします。私たちはプログラマーのフィリップ・ラフラムと共に、キャラクターがさまざまな道具を思うままに使用して、暗殺のターゲットに手が届くところまでくると、RTPCが設定されるシステムの開発に取り組みました。
これにより、危険やチャンスの印象が作り出されて、暗殺のドラマチックな効果を高めます。
ここでもう一度RTPCのアタックタイムとリリースタイムが調整されます。緊張が高まる瞬間の応答性を上げ、暗殺後は緊張感を維持するために、ゆっくりリリースします。
カスタムRTPCは忍びのコンテキストで使用されるさまざまなミュージックで、LPFとボリュームを作動させます
2Dと3Dの融合
Assassin's Creedはダイエジェティック(ゲーム世界の)ミュージックを長く受け継いでいます。Shadowsも例外ではありません。プレイヤーは戦国時代の日本を探索中に、伝統的なミュージックを聞く機会が数多くあります。
ダイエジェティックミュージックと私たちの楽曲を調和的に融合できるシステムがいくつかあります。例えば、シネマティクスではWwiseでいくつかのトラックが再生されます。ダイエジェティックな空間音響になっているトラックもあれば、そうでないトラックもあります。これらのアクティベーションはステートを通して管理され、画面上のアクションとの同期や一貫性が確保されます。
別のシステムについても詳しく紹介しましょう。ダイエジェティックミュージックとThe Flightの楽曲を融合する、シンプルですが洗練されたシステムです。これらは共に驚くほど豊かで、2つの曲の間には一定の音色の均質性があるため、過剰な不協和音が生じることなくレイヤー化できました。
そのためダイエジェティックミュージックが再生されると、探索ミュージックは完全にミュートにはなりませんが、それによって変化します。楽曲には徐々にフィルタ(HPF)とアテニュエーションが適用され、マルチチャンネルのリバーブに注入されるため、遠くから聞こえながらも包み込まれるような響きが与えられます。
ダイエジェティックミュージシャンの再生出力RTPC
ダイエジェティックミュージシャンが楽曲のボリュームとHPFにモジュレートをかけます
ダイエジェティックミュージシャンが楽曲のリバーブにモジュレートをかけます
ダイナミックミュージックシステム
Shadowsのゲームプレイミュージックの中核を担うのは、ダイナミックミュージックシステム(DMS)です。このシステムの概略図を以下に示します。
ゲームプレイで使用されるダイナミックミュージックシステム(DMS)の概略図
このシステムは常に適応しながら応答性の高い音楽体験を創出し、リアルタイムのゲームプレイに基づいて、緊張感、躍動感、没入感を高めることを目的として設計されました。NPCのAIにより提供される4つのメインステートを囲むように構築されています。
- AI UNAWARE:敵がプレイヤーの存在に警戒していない時は通常、雰囲気のあるアンビエントミュージックが伴います。
- AI SEARCH:敵が研ぎ澄まされた知覚能力で積極的に警戒中のプレイヤーを探している間は、捜索の音楽モチーフが使用されます。
- AI LKP(最後に見かけた位置):敵がプレイヤーを見失ったが、最後に見かけた居場所を積極的に捜索している時、サスペンス調の捜索ミュージックで表現されます。多くの場合、高音のパーカッションによって盛り立てられます。
- AI FIGHT:直接の戦闘時は、戦闘を盛り立てる激しいテーマミュージックが使用されます。
これらのコアAIステートには、特定のプレイヤーのアクションや結果のトランジションといった、追加のダイナミックシステムがいくつかレイヤー化されています。
忍びのミュージック(AI UNAWAREにリンク)のダイナミックな側面と奈緒江の忍者センス(UNAWAREとTENSIONステートの両方にオーバーレイ可能)についてはすでに述べたので、次にDMSの応答性を高めるほかの重要なエレメントについて、さらに深く掘り下げようと思います。
ダイナミックな脅威レベル
私たちはプログラマーのレミ・ジュリアン、アレクサンドル-ガブリエル・ハラープ、およびFightのアシスタントディレクターのフェリクス・ラリベルテと共に、Shadowsの脅威レベル(TL)システムを全面的に刷新しました。
このシステムのデザインはシンプルです。私たちは戦闘でプレイヤーと対戦するそれぞれの敵のレベルの違いを観察し、重みを割り当てました。合計によってTLが設定されます。
デザインによって以下のメリットがもたらされます。
- しきい値の最小値を下回ると戦闘ミュージックは開始されません。非常に短いと予想される戦いでは、ミュージックが再生されないようにします。
- 戦いに参加する敵や倒された敵の数によってレベル3は動的に変化し、戦闘中に再計算される要素によって定義されます。特に長い戦闘フェーズでは、このダイナミズムにより大きなメリットがもたらされます。
- 激しさが増す時はすばやく、解放時にはゆっくりにすることで、アクションの勢いを維持します。
ここではプリプロダクションの段階でTLを事前に調整する際に使用した、2つのカリキュレータを紹介します。1つ目のカリキュレータでは、以下に示すような変数に基づいて、特定のしきい値に到達するために必要な各ティアのNPCの最小数を計算できます。
- プレイヤーと対戦するNPCの相対レベルに関連付けられた重み
- しきい値
2つ目のカリキュレータでは、異なるティアのNPCが戦闘に参加した場合を簡単にシミュレートして、さまざまな設定をテストできます。
(これらのカリキュレータはデザインの段階でのみ使用し、最終的なバランス調整と最終値の設定には、ゲームエンジンのデバッグツールを使用しました。)
デザインの段階でTLを計算するために使用されたスプレッドシート
The Flightのミュージックの強度が適切であるため、これら3つのレベルの強さを簡単に表現できることが多かったのですが、いくつかの戦略的技術を使用しなければならない場合もありました。そのような技術は以下の通りです。
- スペクトル分割:楽器の演奏が激しくなるほど音質が上がり、短い音もはっきりと聞こえます。私は音響心理学の基本ルールに従って、数多くの楽器レイヤーをスペクトル分割しました。特にパーカッションでは、6dBスロープのハイパスフィルタとローパスフィルタを使用しました。カットオフ周波数は聞きながらトラックごとに主観的に決定しました。この時に素材の性質とその状況を考慮しました。
1オクターブあたり6dBのLPFとHPF
- トラックの複製:1つのトラックを複製して、コピー先のトラックそれぞれに6dBのアテニュエーションを適用した後に、異なる脅威レベル内に分散させることが、一部のケースでは効果的な解決策であると証明されています。特にオーケストレーションがあまり密集しておらず、スペクトル分割だけでは不十分なTrapaneseのリミックスで効果的でした。
ポーズ攻撃
Shadowsでは、プレイヤーは攻撃をホールドすることができ、キャラクターは保持可能な構えに切り替わります。これによりプレイヤーは攻撃力をチャージできるだけでなく、絶好の機会を待つことができます。これも侍ファンタジーの一部です。
戦闘ミュージックがこれをサポートするように、私たちは戦闘デザイナーのガブリエル・ジョビン-ロイと共に取り組みました。構えをホールドすると特定バージョンのミュージックへのトランジションが実行され、TL (3つのTLしきい値にまたがる2つのバリエーション)に反応し、構えがホールドされている限り、このステートで維持されます。これによりドラマチックな緊張の瞬間を演出したり、特別に一時停止することが可能になります。
この機能はトランジションタイムでトライアンドエラーを繰り返しました。バグと感じられるような頻繁ですばやい変化にならないように、構えへのトランジションは非常にゆっくりです。特に決闘時に構えがホールドされている間、この機能は最も効果を発揮します。
弥助のポーズ
特殊能力
プレイヤーは戦闘中に、しばしば破壊的な特殊能力を発動することができます。武器ごとに能力がいくつか設定されており、ゲームを通して利用できます。
ミュージックがこれをサポートするように、戦闘デザイナーのガブリエル・ジョビン-ロイやヒューゴ・ダンスローと共に取り組みました。私たちは特殊能力を2つのカテゴリに分けました。
- 大部分については、シンプルで精巧なダイナミックミキシングシステムがサウンドエフェクトを強調しますが、
- 一部の特殊能力については、ミュージックが主要な役割を果たします。特殊能力が最初に命中した時、緊張感のあるエレメントへのミュージックのトランジションが実行されます。そのエレメントは特殊能力の発動中に維持されてから、中断されたエレメントにすばやく戻ります。このタイプのエフェクトを作成するための簡単な方法はスティンガーを使用することですが、私たちのシステムではもっと複雑な方法を使用し、アテニュエーションを適用する代わりにミュージックを一時停止できます。これにより時間が止まったかのような瞬間を作り出せるだけではなく、エントリトランジションやイグジットトランジションを使用できるようになるため、さらに洗練されたサウンド制作が実現します。
特殊能力を使用する弥助
処刑
プレイヤーが最後の敵との戦いで構え攻撃を行うと、処刑シーケンスがトリガーされます。
戦闘デザイナーのガブリエル・ジョビン-ロイやヒューゴ・ダンスローと共に、ミュージックを使用して処刑シーケンスをサポートするシステムを作成しました。
武器ごとに処刑の振り付けがいくつかあります。それぞれのデュレーションを観察することで、それらを2つのカテゴリにグループ化して、平均デュレーションを定義できました。こうしてすべてのアニメーションで満足のいく同期が実現しました。
そうした攻撃による戦いが終わると、ミュージックが特定のバリエーションで締めくくられて、ドラマチックな効果が強調されます。
処刑のエンディングがスティンガーとしてトリガーされています
それぞれの戦いのミュージックには、2通りの処刑エンディングがあります
処刑スティンガーがRTPC値を作動します
処刑スティンガーがミュージックに合わせたクロスフェードにより、Combatバスをダッキングします
戦闘後
戦闘ミュージックと探索ミュージックの間のトランジションは、ビデオゲームにおいて常に慎重に扱う必要があります。ミュージックがその役割を果たすように、この状況に適応させる必要があります。アクションをサポートするためにオーケストラをリアルタイムで再生するとしたら、楽曲は探索から戦闘、またはその逆のトランジションを強調するように間違いなく適応しますが、トランジションが露骨すぎると洗練さに欠けてしまいます。また戦闘シーケンスは、シームレスに別のシーケンスに移ることが多くあります。
戦闘後は中間のステートであるため、このトランジションを緩やかにすることができました。これらは編集されたセグメントであり、これらの曲をつなげる役割を果たします。それらは戦いの数秒後に再生されて、ほかの曲と同期されます。トランジションはクロスフェードによって実行されます。
戦いの後で使用される戦闘トラックと探索トラックの融合
オープンワールドでのクエストミュージック
AC Shadowsではプレイヤーは現在追いかけているクエストに関係なく、ほぼ自由に思いのままに世界を見て回ることができます。この自由によりプレイヤーに選択肢が与えられる一方で、当然ながら大きな課題が突きつけられます。探索や戦闘の流れを妨げることなく、独自のミュージックを使用してどのように特定の物語クエストを効果的にサポートするかという点です。
私たちはテクニカルデザインディレクターのファニー・カンパーニと共に、クエスト固有のミュージックトラックを再生するスクリプトをいくつか作成したのに加えて、それらのアクティブ化と非アクティブ化に対する明確な制御を維持しました。
まずクエストが発生すると、関連するミュージックの再生が準備されます。次に、以下のようなさまざまな条件に応じて、再生の開始や停止が判断されます。
- 定義されたエリア内にプレイヤーが存在する
- NPCの接近または特定のインタラクティブ要素
- サブ目標の達成
- 特定のスクリプト化された要素のトリガー
ShadowsのクエストミュージックでもDMSを使用して、ほかのゲームコンテキストとの一貫性のあるエクスペリエンスを創出し、探索中や敵の陣地に潜入中の場合と同じダイナミクスを提供していることを最後にお伝えしたいと思います。
Wwiseでのダイナミックなクエストミュージック構造
感謝の言葉
制作チームの多大なる努力のお陰で、この壮大なスケールのゲームを完成させることができました。一部のシステムに取り組む上で多大なるご協力をいただいた方々についてはブログ内で紹介しましたが、以下の方にも感謝の意を示したいと思います。
サイモン・ニコル:オーディオQAスペシャリスト
サイモンは私たちのシステム全体へのアプローチを深く理解しており、システムを微調整する際になくてはならない存在でした。
また以下の方々にも感謝申し上げます。
グレイグ・ニュービー、アルノー・リベイレ:オーディオディレクター、アソシエイトオーディオディレクター
ジェローム・アンジュロ、ベネディクト・オーメット:ミュージックスーパーバイザー
ロベルト・ベンダー:オーディオプログラマー
ダニエル・シコラ:オーディオテクニカルディレクター
私のオーディオチームのメンバーならびにShadowsのミュージックシステムの制作にご支援ご協力いただいたその他多くの方々にも深く感謝しております。
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