Wwiseの基本的なアプローチ

目次

オーディオを変換する

SoundBankのサイズを小さくする最も効果的な方法の1つは、これまでのモジュールでインポートしたWAVファイルを別の形式に変換することです。サンプルレートを下げる、モノラルにダウンミックスするなどしてチャンネル数を減らす、別のファイル形式に変換するなどができます。これは通常サウンドクオリティの低下につながりますが、妥協することも時には必要です。Wwiseのメリットは、インポートプロセス時にファイルを変換する必要がないことです。デザインがほぼ完成するまで待ってから、必要な場合にのみ、必要な範囲でファイルを変換することができます。

ファイルを1つずつ変換することもできますが、ファイルの多くに有効なConversion Settingsを決めてから、複数のオブジェクトに適用するShareSetを作成することが一般的です。この演習では、一般的なサウンドエフェクトのすべてに有効なShareSetを作成します。

  1. メニューバーでLayouts > Designerをクリックします(またはF5)。

  2. Project ExplorerでAudioタブを選択し、Actor-Mixer Hierarchy > Default Work Unitを展開してからMagic Actor-Mixerを選択します。

  3. Property EditorでConversionを選択します。

  4. 選択肢ボタンをクリックして、Newを選択します。

  5. 表示されるダイアログのNameフィールドにSFXと入力して、OKをクリックします。

    SFX ShareSetがMagic Actor-Mixerにアサインされます。

  6. Property EditorでSFX ShareSetをダブルクリックします。

    Conversion Settings Editorがレイアウトの中央に表示されます。上部のペインには、このShareSetにアサインされたすべてのオブジェクトに適用される変換パラメータが表示されます。下部のペインには、このShareSetに現在アサインされているオブジェクトのリストが、オーディオファイルのチャンネル数、サンプルレート、オリジナルファイルのサイズなどの詳細と共に表示されます。

    [Tip]

    別の種類のサウンド用に、追加のConversion Settings ShareSetを作成できます。例えば、ダイアログは周波数帯域が限られているため、影響が気にならない範囲でサンプルレートを下げることができます。周波数全域を使用するミュージックの場合、オーディオ品質が悪いとすぐユーザに悟られてしまいます。そのため、ミュージック専用のConversion Settings ShareSetを作成するとよいでしょう。

    よく見ると、Audio Sourceの名前が青字で、Converted Size列の値がダッシュになっています。これは変換プロセスがまだ実行されていないためです。

    [Note]

    列ヘッダの端を左や右に動かすと、列の幅を調整できます。

    ステレオチャンネルをモノラルに変換したり、サンプルレートを下げたりすることで、ファイルサイズを小さくすることができますが、オーディオの聞こえ方が明らかに変わってしまうこともあります。

    もう一つのオプションはフォーマットの変更です。デフォルトでWwiseにインポートされるオーディオは、一般的にはPCMファイルです。つまりこのファイルに対してデータ圧縮が適用されていません。MP3ファイルなどに適用されるデータ圧縮を使用すれば、ファイルサイズを大幅に縮小できます。適用方法によっては違いがほとんど分かりません。ただし音声ファイルを圧縮した場合は、再生時にゲームシステム側で解凍する必要があるため、システムプロセッサの負荷が増加します。そのため、ファイルサイズを縮小するメリットとプロセッサの使用率が上がるデメリットを比較検討する必要があります。

    WwiseではMP3圧縮方式は用意されていませんが、これに非常によく似たVorbis圧縮方式は用意されています。Vorbis圧縮方式の方が高音質であるという意見も多く、ゲームオーディオのインテグレーションにおいて標準規格となっています。この演習ではVorbis圧縮方式を使用します。

  7. MacとWindowsのどちらの場合でも、FormatリストからVorbisを選択します。

    Qualityプロパティ値というVorbisオプションだけの値が、表示されます。本項目がVorbis変換後のサウンドのクオリティを表し、最低レベルの-2から10までの範囲になります。より高い値はより優れたサウンドクオリティを表しますが、データ削減はより少ないことを意味します。4という値が出発点としては有効で、ファイルサイズを劇的に削減できるのと同時に、大抵の場合で納得のいくサウンドを得られます。

  8. Convertをクリックし、Conversion Settingsを適用します。

    [Note]

    SoundBankを生成する際に、Conversion Settingsも適用されます。

  9. 表示されるダイアログでお使いのシステムに適したプラットフォームを選択し、Convertをクリックします。

    変換が完了すると、Audio Sourceの名前はUser Settingsで選択したテーマに応じて青色から黒色または白色に変わります。変換後のファイルサイズも確認できます。Vorbis形式に変換したことでファイルサイズが70~80%も削減され、スペースの大幅な節約が実現しました。

    次にSoundBankをもう一度生成して、Main SoundBankのサイズがどのように変わったかを見てみましょう。

  10. メニューバーでLayouts > SoundBankをクリックし(またはF7)、次にSoundBank Managerの右上隅にあるGenerate Allをクリックします。

    Generating SoundBanksダイアログが開き、進行状況が表示されます。

  11. このプロセスが完了したら、Generating SoundBanksダイアログでCloseをクリックします。

    Main SoundBankのデータサイズが最大サイズを下回っています。これはメモリ予算内であることを意味します。しかし、DCP_the_core SoundBankは依然として予算を超えています。これについてはあとで対応します。

    [Note]

    あなたのプロジェクトのConversion Setting ShareSetsを作成できたら、どれをデフォルトにするのかを指定します。Default Conversion Settings ShareSetは、最上階層で新規オブジェクトを作成した時に適用されます。このオブジェクトに親があれば、親のConversion Settingsを継承します。デフォルトShareSetは、Project SettingsのSource Settingsタブで設定します。


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