Wwise 2013.1リリース
Wwise 2013.1がダウンロードご利用できるようになりました(2013年5月14日リリース)。今回の新リリース版は、新機能、ワークフローの強化、パフォーマンスやバグの修正に焦点を当てています。以下は、いくつかの新機能の概要です。
HDR オーディオ
ハイダイナミックレンジ(High Dynamic Range)オーディオは、16ビットシステムに見られるダイナミックレンジ標準96 dBを200 dBに向上することにより高ダイナミックシーンを再生する画期的方法です。
HDRオーディオは、最大音量のサウンドが自動的に他のサウンドの音量を低下させるダイナミックミキシングシステムです。よりフォーカスされたミックス、より優れた音声カウントを実現し、ランタイムパフォーマンスを向上させます。
ソース音量正規化
Wwiseでは、オーディオソースの非破壊的な音量(ラウドネス)正規化をご利用可能です。正規化は、すべてのボリュームベースロジック(バーチャルボイス、HDR)と新しいVoice Monitorプロファイリングビューに対して透過的なので、ミキシングとビジュアリゼーションが簡素化されます。
メーター:ラウドネス、トゥルーピーク、ピークおよびRMS
Wwiseで2タイプの新しいメータービューがご利用可能になりました:
- Standard Meter ビュー:Peak、 True Peak または RMS
- Loudness Meterビュー:ITU-R BS.1770-3 および EBU R 128 規格に準拠。ショートターム値とモメンタリ値も、Performance Monitorビューで経時的にモニター可能なので、ゲームプレイセッション中に発生する音量の問題を検知するのに役立ちます。
新しいビュー– Voice Monitor
Voice Monitorプロファイリングビューは、すべての再生中サウンドのボイス音量を比較表示します。ビューが、HDRオーディオを監視するために使用される場合、これは、HDRバス入力における移動ウインドウの各サウンドとエフェクトの音量、または、この同バスの出力におけるHDRエフェクト後の各サウンドの結果的な音量を表示します。
新プラットフォーム
Wwiseで次の3つの新プラットフォームがサポートされるようになりました:
- PlayStation®4
- Windows Phone
- Windows 8:
- デスクトップ
- インテルデバイスとARMタブレット上でのWindowsストアアプリ
Limbo
受賞ゲームLimboがWwiseインストーラからご利用可能になりました。Limboに接続しながらWwiseプロジェクトを学んでいただくことができます。オーディオファイルとオブジェクトのプロパティやビヘイビアを置き換えることにより、このゲームの独自サウンドデザインを作成することができます。
バス – ポジショニングとチャンネル構成
バスとAUXバスに、パフォーマンス強化とミキシングのための2つの新機能が追加されました:
チャンネル構成:
デフォルトでは、どのバスもゲームで設定されたチャンネル構成(通常は2.0 または 5.1)を使用しますが、バスごとに、1.0、2.0、4.0 および 5.1を設定できるようになりました。より少ないリソースを使用しながら、創造性を広げることができます。例えば、インサートエフェクトの掛かったバスがミックスダウンを強制する場合などにこの機能を使用できます。
2D ポジショニング:
センターパーセントと2Dパンナーを使用し、バスとAUXバスの出力をサラウンドフィールドでパンニングすることができるようになりました。
‘シングルクリック’ ワークフロー
選択して有効化のオプションを選ぶと、オブジェクトのプロパティを探索するためにダブルクリックする必要がなくなりました。User Preferencesで、'Inspect object when selection changes(選択変更時にオブジェクトを点検)' というオプションを有効にすると、マウスのシングルクリックまたはキーボードの矢印で選択を変更することにより、Project ExplorerやList Viewといったビューを更新できるようになります。
新プロパティ: ‘初期遅延’
すべてのサウンドおよびコンテナに、小さなサウンド間にディレイ(遅延)を加えるなど特定のシナリオを作ることができる 'Initial Delay(初期遅延)' プロパティが利用できるようになりました。これにより、'Play' アクションディレイの使用や階層内に無音挿入をする必要がなくなりました。
パフォーマンスの向上
Androidでは現在10%速く実行されます。Vorbisや多くのエフェクトがいくつかのプラットフォーム上で最適化されています。以下は、パフォーマンス要因の概要です(1xは現状維持、2xは以前よりエフェクトが2倍早く実行されることを意味します。
Xbox 360 | PS3 | Wii U | |
Matrix Reverb | - | - | 4.6x |
Flanger | 1.1x to 1.8x | 1.3x | 1.5x to 2.4x |
LPF | 1.2x | 1.8x | 1.1x |
Time Stretch | 1.1x to 2.4x | 1.3x to 1.6x | 2.5x to 3x |
Convolution Reverb | 1.3x to 1.7x | 1.1x to 1.3x | 8x to 10x |
Guitar Distortion | 1.4x to 1.7x | 1.1x to 1.5x | 1.4x to 2x |
Tremolo | 5.5x | 1.25x | 4.4x |
Harmonizer | 1.1x to 1.2x | 1.3x | 1.5 to 2.2x |
Vorbis | Up to 2% | Up to 4.5% | 10 to 15% |
インタラクティブミュージック– 新スイッチ割り当てシステム
新しいスイッチ割り当てUIにより、異なるステートグループ間でのスイッチ遷移(トランジション)ルール適用が可能になりました。この新システムは、ダイナミックダイアログイベントから発想を得たもので、フォールバックメカニズムや重み付け(weighting)など同タイプの機能が利用可能です。
ソース編集
Wwiseで、インポート後のオーディオソースに非破壊的な編集を加えることが可能になりました。以下はサポートされているワークフローの概要です:
- Trim(トリム):サウンドの先頭と末尾をトリミング可能。トリミングされた部分は、変換時にファイルから削除されるので、サウンドバンクのサイズを減らすことができます。
- Fade(フェード):ファイルの先頭および末尾部分にフェードインおよびフェードアウトを追加可能。
- Crossfade(クロスフェード):ファイル内でループマーカーを移動し、クロスフェードを追加して、難しいループを設定可能。
- HDR Envelope(HDRエンベロープ):アクティブレンジエンベロープをオーソライズして、選択したファイルのHDRエフェクトをカスタマイズ可能。
その他
- 2D/3D :オーディオオブジェクトに2D および 3D ポジショニング設定の両方を設定し、ランタイム時にRTPCで変更可能になりました。この機能は、例えばメインキャラクターとNPC間で共用されるオブジェクト用オーディオ構造の重複などを排除することができます。
- 減衰エディタ:Aux センドボリュームカーブが "User-Defined(ユーザー定義)" カーブと "Game-Defined(ゲーム定義)" カーブに分割されました。
- VC2012のサポート。
- リストビュー:‘開く/閉じる’が追加され、選択されたオブジェクトの子オブジェクトを表示できるようになりました。
- プラグインAPIの改善:ゲームオブジェクトの完全な位置情報が、ソースおよびインサートエフェクトオーディオプラグインに提供されるようになりました。位置情報には次のようなものが含まれます:
- オーサリングされたポジショニングタイプ
- リスナーの関連付け
- リスナーの位置
- スケーリング比
- デカルト座標表示のゲームオブジェクト絶対位置
- 球面座標表示のリスナーに対するゲームオブジェクト位置
このバージョンの詳細については、 リリースノートをご参照ください。