サウンドデザインコンテストWwise Limbo Redux の受賞者発表
サウンドデザインコンテストWwise Limbo Redux に参加された皆様にAudiokineticおよび外部審査員からお礼を申し上げます。世界各地から頂いたエントリー作品を審査させていただいた結果、3名の受賞者が選出されました。
最優秀賞
Emmanuel Doulut (フランス) |
最優秀賞を受賞したEmmanuelさんにコンタクトし、彼のバックグラウンド、将来の夢、作品制作にあたってのビジョン、実際の作業についてインタビューしました。 Audiokinetic (AK): Emmanuelさん、まずはコンテスト最優秀賞受賞おめでとうございます。審査員はビデオ審査およびWwiseプロジェクトでの審査内容、アーチストとして今回の作品制作のビジョンが深く検討されていることに感心していました。 Emmanuel Doulut (ED): ありがとうございます。努力の成果と最終的な作品を審査員の皆さんに認めて頂けた事を嬉しく思います。 AK: ご自身についてお聞きしたいのですが、現在ゲームオーディオ業界で仕事をされているのですか? ED: はい、そうです。Ubisoftの革新的な新作タイトルの仕事を完了したばかりです。あまり詳しいことは言えないのですが、今年リリースされるので楽しみにしていてください。現在、ゲームオーディオ業界で、次のチャレンジを探しているところです。 AK: 業界での仕事の経験が今回のコンテストで役に立ちましたか? ED: ちょうど仕事を完了したばかりのゲームは実は私の最初のプロジェクトで、Limboとはオーディオ面で大きく異なります。オーディオとミュージックのデザイン、コンセプト企画の面では業界での経験が役に立ちましたが、オーディオのインテグレーションという面ではあまり関連がありませんでした。 AK: そのタイトルのリリースを楽しみにしています。業界でのEmmanuelさんの目指すところは? ED: 私が設計企画、制作、実装から作曲に至るまで私の力が最終製品にまで影響を発揮できるゲームとインタラクティブメディアでのプロジェクトに多く携わりたいと思っています。こうした理由からも、今回のコンテストを通じてWwiseを学ぶことができたのは好都合でした。PCやゲームコンソール向けの開発会社では広範に導入されているWwiseですが、私が知る限りでもモバイル、インディーズ用途にも使っている人が増えています。ビデオゲーム業界のサウンドデザイナーにとって本当に便利なツールだと思います。 AK: サウンドデザインで特に注力しているところはありますか? ED: 私は現在、インタラクティブミュージックと作曲に興味を持っています。これらの面で、Wwiseの次期アップデートはさらに向上していると聞いています。私自身は、色々なことに興味を持って試行錯誤しています。 AK: 次に今回の受賞作品についてお伺いします。何にインスパイアされて制作された作品ですか? ED: Martin Stig AndersenによるLimboのサウンドデザインはそれ自体素晴らしいものだったので、今回のコンテストは大きなチャレンジでした。私はLimboの‘Gravity Jump’ゾーンと呼ばれるゲームレベルが個人的に気に入っていたので、これを60秒セクションとして選びました。 このレベルでは、プレイヤーへ提供される唯一のヒントがタイマーのテンポ展開なので、音を注意して聞いてタイミングをつかむことが重要です。プレイヤーに対してGravity状態の変化を期待させながら、音楽とサウンドによるヒントを使ってAndersenさんによるリズムの加速とは違った手法での実装を試みました。 AK: ご自身の制作における狙いを実現するためにWwiseを特別な方法で活用したりしましたか? ED: 私はWwiseをミュージックシーケンサーとして使いました。多くのミュージックイベントと、固定BPMを使いました。シーケンスのサウンドのすべては分離可能な独立したものです。こうすることで、オーディオのインテグレーション作業が柔軟に進めることができました。 AK: なにか苦労された点はありましたか? ED: 私の設計が固定BPMであることに依存していたので、固定フレームレートで最適に動作していました。シーケンスはすべて5をベースとしています。gravityが5秒ごとに変更され、5つのエリアがあり、シーケンスは5ポーションから構成されています。私はすべてのサウンドを96bpmで用意し、それにはディレイのある追加チャネルも含まれ、5秒ごとのgravity変化に対応するRTPC gravityTimer値をいくつかのループや長いサウンドに対して使用しました。シーン内の5つのエリアにおいてドラマチックな緊張感を徐々に増加させるようにしました。これらすべてを一旦、頭に叩き込んでしまえば、プロジェクトはスムーズにまとまりました。 AK: デザインにおけるテーマはありますか? ED: アーティスティック面では、作品のダークな基調をそのままに、“ノアール”調のビジュアルイメージを保持したいと思っていました。また、ミュージック要素間のコントラスト、サウンドスペースのコントラスト、ソノリティとテッシトゥーラのコントラスト、ミュージカルな要素と、それ以外の要素がひとつのユニットとしての融合により、gravityの変化における緊張感と開放感を強調して、表現しようとしました。 AK: サウンドエフェクトは外部から入手したものですか、それとも独自に制作したものですか? ED: 私は何でも自分でやるのが好きなので、すべてのサウンドは私自身がシンセサイザーを使って作曲録音したものです。サウンドバンクや、シンセサイザーのプリセットの音は一切使用していません。 ‘up’ 状態と ‘down’状態の違いをディレイ付きのエコー、トーン、コード、テッシトゥーラを使って、 緊張と開放の感覚を音で表現しようとしました。ラウドなサウンドで少年がだだっ広い、危険な環境に一人、頼るものがいない状況を、そしてリアルタイムにテッシトゥーラの変化を管理するために、低域、中域、高域周波数を分離しました。 AK: それはすごいですね。最後にコメントをどうぞ。 ED: 今回のコンテストは、自分にとってWwiseエンジンを試用し、学習するいい機会になりました。本当に楽しかったです。さらに、Limboは素晴らしいサウンドデザインされた優れたゲームだと思います、多くの皆さんにプレイしてもらいたいですね。 |
Emmanuelさん、素晴らしい作品をありがとうございました。次の2作品が次点として選出されました。
次点
Tom Maddocks (英国) |
次点
Sylvain Jannot (カナダ) |
ご応募いただいた皆様に重ねて御礼を申し上げます。次のAudiokinetic主催のコンテストをお楽しみに。