ダイアログは多くのゲームにとって中核をなすものであり、ストーリーを届け、プレイヤーをキャラクターに結び付けます。しかし、重要なダイアログがゲームのサウンドスケープの轟音に埋もれてしまっていると感じることがよくありませんか?このブログでは「ダイアログの高精度なミキシング」を深掘りします。サウンドスケープのどの部分も犠牲にすることなく、ゲームプレイミックスを通して、見事なダイアログカットを実現する方法を紹介します。サウンドスケープが実際にボイスとぶつかることはありません。
つまりこのシステムは、バックグラウンドアンビエンスで声の周波数を強調する時にのみ、特定の周波数のみを除去します。
メータリングシステムの設定
高精度なダイアログカットに取り掛かる前に、重要な情報をいくつか集める必要があります。メータリングシステムを設定して次の情報を分析します。
- ボイスオーバー(VO)信号の強度
- バックグラウンドサウンドスケープの強度
そのためには、Master-Mixer HierarchyにAmbiance_Preバスを作成します。このバスにより、正確なメータリングには欠かせない不変の信号が提供されます。メータリングと修正の両方でAmbianceバスを使用してしまうと、論理ループが発生するため、これを避ける必要があります。
メータリング専用の構成を別に作成します。また、そこからの信号が聞こえないようにするため、Audio Deviceは「No_Output」に設定する必要があります。
それでは作成したバスに、メーターエフェクトを追加しましょう。動的設定によって出力信号が変動します。この出力信号を次にRTPCに変換したいと思います。
メーターからの実際のdB値と相関するように、RTPCには-48から0の範囲を設定しましょう。
個別周波数の制御
このシステムの精度をさらに高めるため、Meter_VO_Sumバスからの信号を3つの帯域に分け、それぞれをボイスオーバーで最も重要な低域、中域、高域の周波数に割り当てます。Meter_VO_Sumセンドは次のようになります。
メインのメータリングバスと同じように、メータリングエフェクトとEQをそれの前に追加します。EQの目的は必要な帯域の分離であるため、バンドパスに設定します。
ヒント:プロジェクト内のさまざまな箇所で帯域の周波数値の変更が必要とならないために、共有のRTPCに周波数値を紐づけて制御しやすくします。さらに、喋っているキャラクターに応じて、後からその場で周波数の値を変更することもできます。
アンビエンスコンテンツに応じたVOメータリング
次に、アンビエンスの音響特性のメータリングについて考えてみましょう。そのためには、特定のアンビエンス信号(例えば低音)のRTPCを、同じ周波数のVOメーターの最大出力パラメータに割り当てます。バックグラウンドの低音域のサウンドが少なくなるほど、VOメーターの最大出力が下がります。こうすることで、VOとアンビエンスが特定の周波数帯域で衝突している場合にのみメータリングが適切に機能し、かすかなアンビエンスだけが再生されている場合は、影響の大きい出力信号は作られません。
アンビエンスを変化させるVO信号
メータリングされたVO信号が3つの周波数すべてにおいて想定通りに動作するようになったため、次にVO信号がアンビエンスに与える影響を設定します。
重要:メータリングシステムに信号を送るバス(このケースでは「Ambiance」)の親バスでこの設定を行う必要があります。そうすることで信号のループが回避されます。
先ほど確立したものと同じ3つの周波数帯域を持つEQエフェクトを追加します。これでVOメーターに紐づけられたRTPCが、各帯域のゲインを変えるようになります。
ダイアログを超えて
精密に制御してアンビエンスをVOダッキングすることに焦点を当てましたが、この設定の背後にあるロジックは、ほかの組み合わせでも使用できます。戦闘サウンドでのローパスフィルタを通した爆発音やモンスターが吠える声を切り裂く銃声など、ほかにも色々あります。このロジックを活用して、クリエイティビティを発揮しましょう。
このプロセスの様子をご覧になりたいですか?このブログ投稿のきっかけとなったビデオチュートリアル(英語)はこちらです。
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