Wwise 2018.1がリリースされ、Wwise Launcherからダウンロードできるようになりました。
UIに、注目のカラーオプションが追加されました!真新しく洗練されたルックスについてブログを書きたい気持ちをここではおさえ、2018.1で導入されたカラーだけでなく、多数のクールな新機能やアップデートについても合わせて紹介します。
ユーザーインターフェースのテーマとカラーのカスタマイゼーション
2018.1 新機能概要
Wwiseインターフェースの見やすさや色分けに関する多くの要望に応え、Wwise 2018.1では、新たにDark UIを取り入れました。新スキンは、テキスト、色分けされたカーブ、その他のグラフィック要素が見やすくなり、今までにない魅惑的なWwiseインターフェスが実現しました。これまで通りのルックスの方がいい常連ユーザーは、Classic版を使い続けることができます。ClassicとDarkの中間を望むユーザーはUIをカスタマイズすることもでき、brightness(明度)、contrast(コントラスト)、hue(色相)、saturation(彩度)を変えられます。
ユーザーインターフェースのアフォーダンス
2018.1 新機能概要
UIの細かい改善が、スペースの有効利用、分かりやすさの向上、ユーザーの抵抗感の払しょくなどにつながります。ユーザーがすぐに気付くようなWwise 2018.1の改善点を、ここで紹介します:
- メインメニューを、アプリケーションのタイトルバーに移動しました。
- 機能名入りボタンのStart CaptureやFollow Capture Timeなどをアイコンに置き換え、スペースを節約しました。
- 一部のアイコン、例えばSave、Load Presets、Pin、View Settingsなどは、機能がよく分かるようにデザインを変えました。
- 色盲のユーザーにも分かりやすいように、新テーマのDarkでは、複数のボタンとすべてのスライダーの色を青からオレンジに換えました。
- MuteとSoloのアクティブボタンの色を変更しました!新しい色は、Muteが青、Soloが黄です。
タブを縦または横に分けるスプリッター
タブがあるビューの多くで、タブを縦または横に分割できるようになり、オブジェクトの詳細を同時に2種類のタブで確認できるようになりました。例えば、General SettingsタブとRTPCタブの両方を同時に見ることができ、大変役に立ちます!
オブジェクトの色
2018.1 新機能概要
Wwiseのすべてのオブジェクト(Project Explorerで選択できる、文字通りすべてのオブジェクト)に、カラータグを設定できるようになりました。ユーザーは、オブジェクトのステータスやオーナーなど、カテゴリ関連の自分で設定した条件に従い、オブジェクトを識別しやすくできます。 その上、Project SettingsでProjectカラーをプロジェクトごとに変えて、プロジェクト別のMenuバンドの色を設定できます。同時に複数のプロジェクトで作業するユーザーは、探しているプロジェクトを一目で判別できます。
Timeモジュレータ
Timeは、RTPCカーブと合わせて使い、プロパティの自動化(automation)を時間軸にそって設定できる新しいモジュレータです。Timeモジュレータを、RTPCが設定できるプロパティに設定することで、複雑なボリュームエンベロープ、ピッチ変化、フィルターモジュレーションなど、時間の経過とともに変位するクリエイティブな応用設定を、簡単に作成できます。
Contents Editorの列の形式の変更
Contents Editorビューでもほかのリストビューと同じ機能セットを利用できるように、アップデートされました。具体的には、列のサイズを変更したり、プロパティの列をソート、追加、削除したり、スイッチをAssigned Objectsにアルファベット順に並べたり、オブジェクトにフィルターをかけて表示したりできます。
コンテキストヘルプ
新しいProperty Helpビューに、選択中のプロパティの具体的な説明が表示されます。特定のプロパティについて簡単に知りたい場合や、特定のプロパティの単位や範囲などを知りたいユーザーにとって、非常に便利なビューです。Property Helpビューは、中国語、日本語、そして韓国語でも表示できるので、これらの言語のユーザーにも分かりやすい機能です。
Capture Logの改善点
Capture Logビューで、うれしい改善点がいくつかあります:
- ゲームをプロファイラーに接続すると、その接続前に起きたエラーもCapture Logのリストに表示されます。
- Capture Logビューも、Wwiseのほかのリストビューと同じ機能を公開しているので、ユーザーは、列の見え方や順番などをカスタマイズできます。
- サーチ機能の対象が、全セルに広がりました。
UIやワークフローのその他の改善点
- 複数のビューで、キーボードのTabを使い移動できます。
- バスをMaster Mixer Hierarchyでコピー・ペーストできます。バスのプリセットの保存やロードも、可能です。
- エフェクトを、あるオブジェクトから別のものにコピーできるようになりました。
- ユーザーがAdvanced ProfilerビューのVoices Graphタブで、エフェクトをダブルクリックすると、Effect Editorが直接開きます。
- コンテキストメニューの"New Child"から、すべてのソースプラグインが表示されるので、素早く新しい階層を作成できます。
- Sound SFXを作成後に、それをSound Voiceとして変換できます(その逆も可能)。
- 様々なビューでスプリッターをさらに追加したので、コンテンツが整理しやすくなりました。
- Event Editorの表示方式が最適化され、フェードアイコンが追加されました。
- ユーザーがStatesタブの各State Groupで選択した展開・縮小の表示が、維持されるようになりました。
- Project Explorerで、ドラッグしながらオートスクロールすることが可能になり、展開・縮小のオプションやコマンドが更新されました。
- プロジェクトのサーチビューに表示されるサーチ結果が、それらの間を移動する際にも表示され続けるようになりました。
3D Meter
3D Meterは、再生される音場を球体として表現します。リスニングポイントは球体の中央にありますが、音エネルギーの分布を球体の外から、標準的なFront、Back、Top、Perspectiveといったビューから見えます。
3D Meterは、リスナー周りのオーディオソースの分布や音の大きさの分析を補助し、開発に貴重な機能を提供します。ピークメーターと似て、3D Meterもグラデーションカラーでリスナー周りの信号の音の大きさを表し、このカラー区分のボリュームスレッショルドは、自由に変更できます。
Wwise Motion
新しいソースプラグインWwise Motion Sourceの導入で実現した、Motion機能の改善点:
- より厳密なアクチュエーターエフェクト
- プラットフォームから独立したワークフロー
- 柔軟性を拡充させ、今までのADSR、Period、そしてPeriod Multiplierの設定の代わりに、Timeモジュレーターのカーブを導入
さらに、Factory Presetをいくつか作成し、様々なハプティックフィードバックのイベントや、プラットフォーム別の適用例などを提供。Factory Presetを入手するには、ProjectメニューでImport Factory Assetsを選択し、Wwise Motionを確認します。
Note: 旧Wwise Motion Generator プラグインは継続して利用できますが、非推奨です。
OPUSコーデック
OPUSコーデックが、全プラットフォームでサポートされています。Opusは、CPUを少し余分に確保するだけでWwise Vorbisに匹敵する品質を保ちつつ、さらに圧縮できるので、ファイルサイズを特に縮小する必要があるときは、Wwise Vorbisの代替案として非常に有効です。これらのコーデックを組み合わせて使い、両者の長所を利用することで、ファイルサイズやCPUの競合するニーズに対応できます。
Opusを使ったループやシークについて
Opusでは、シークやループ用のシークテーブルは不要ですが、その分、CPU負荷が高くなり、ディスクアクセスが増えます(ストリーミングの場合)。これを念頭に、Opusの利用はシークやループのニーズが最小限または皆無のサウンドに制限すべきです。なお、ファイル冒頭のシークやループは軽度なので、このような余計なコストがありません。
Resource usage - リソースの消費 - OpusとVorbisの比較:
試聴テストの結果を listening-test.coresv.net [http://listening-test.coresv.net/results.htm]で見る限り、Opusコーデックの方がVorbisよりも、同程度のビットレートでの音質評価がやや高いようです。同じファイルサイズで音質が高い方が、一見、有利なように思えますが、品質が多少なりにも高い裏には、Opusの方がWwise VorbisコーデックよりもCPU負荷が4倍から5倍も高いという現状があります。とはいえ、何千ものダイアログラインや、長いSFXや、ループなしの単一ストリームミュージックなどを圧縮するには最適の選択です。
VorbisとOpusのCPU使用の比較
Opusとほかのコーデックのオーディオ品質の比較についてさらに詳しく知るには、 [https://opus-codec.org/comparison/]を参照してください。
Wwise Recorderプラグインの改善
RecorderプラグインでAmbiX フォーマットのレコーディングが可能になり、WwiseのAmbisonicsファイルフォーマットのサポートが強化されました。
WAAPI - SoundBankの新しい機能とトピック
新しいコマンドが、ak.wwise.ui.commands.executeやキーボードショートカットで提供され、SoundBankを生成したり、そのタスク終了後に自動的にSoundBank生成のダイアログを閉じたりすることができるようになりました。
その他の新しいコマンド
- ak_wwise_core_log_get.
- ak_wwise_core_log_itemadded.
- ak_wwise_core_soundbank_generated.
実験的機能
アーリーアダプターは、実験的機能がいくつか公開されたことを喜ぶでしょう。実験的機能とはまだ開発フェーズにある機能で、Wwiseの今後のリリースでさらに発展させていきます。機能セットが不完全であったり、パフォーマンスに改善の余地があったりしますが、関心のあるデベロッパー向けに、今後の機能として公開されています。
オーディオレンダリングのパラレル実行
- サウンドエンジンがゲームエンジンのジョブスケジュラーに個別のボイス処理やバス処理のタスクを発行し、タスクを複数のCPUコアでパラレル実行できるようになり、利用可能なCPUリソースの活用が改善され、システム全体の効率が高まります。
ジオメトリによる回折
スペーシャルオーディオのジオメトリのAPI:
- ワールドのジオメトリ周りのパスを計算し、エミッターからの音がリスナーに到達するまでに、どれだけ回折すべきかを判断します。
- オブストラクションを適用する(Volume、LPF、HPFをサウンドパスごとに処理する)か、RTPCにバインドすることで、Rooms and Portals APIと同様にレンダリングします。
- Rooms and Portalsと合わせて使うことができます。ジオメトリックAPIの方が、ポータルだけを使った場合よりも細かく回折のモデル化を行える一方、ルームやポータルは大まかな効果をCPU負荷を押さえて実現できます。
- ジオメトリによる回折をスペーシャルオーディオエミッターに対して使う場合に、オブストラクション値を判断するために、クライアント側の可視性のレイテスト(ray-test)が不要になりました。
Wwise Reflect - 回折リフレクション
- リフレクションパス(reflection path)の回折は、Wwise 2017.1でよくみられた、イメージソースが突然現れたり消えたりし、瞬時に可聴性が変化する問題を解消するために、2種類のモデル化を行っています。
- 鏡面反射でない(non-specular)リフレクションは、面のエッジにおいてモデル化し、鏡面反射のエリアにスムーズにフェードインするようにします。
- リフレクションがほかの面のオブストラクションを受ける場合は、ダイレクトパスに似た方法で回折させ、可視エリアにスムーズにフェードインするようにします。
反射する2つの壁の間にある、エミッターとリスナー:
最初に、2つの鏡面反射
次に、2つの非鏡面反射
Positioning Tabの強化
簡単に使えるようにすることを目的に、Positioningタブで、複数のプロパティをわずかに移動させたり、名前を変更したりしました。新しいオプションも、いくつか導入されました。主な変更の概要:
さようなら...2D/3D
ゲームオーディオの分野で、2D/3Dの概念は1990年代からありました。しかしスペーシャルオーディオ分野が広がり複雑化するにつれ、これらの用語が足かせとなり、時には誤解を生むこともあります。意味の明確化と、今後の開発を視野に、以下のように名前を変えました:
- “2D”を今後は“Speaker Panning”と呼ぶこととし、現在は2つのオプションがあります:
-
Balance-Fade(今までの“2D Panner”のこと)
-
Direct Assignment
- “3D”を今後は“3D Spatialization”と呼ぶこととします。
真新しい機能として、Speaker Panningと3D Spatializationの両方を設定し、ランタイムにミックス値を使い、相互に補間できます。このSpeaker Panning / 3D Spatialization MixプロパティをRTPCに付け加えれば、例えば一方のモードから他方へのトランジションを、スムーズに行えます。
リスナー周りのポジショニングパスの作成を可能にした3D User-defined機能も、名前が変わりました。名前を "Automation”とし、その機能を明確にしました。もう1つの新しい機能として、リスナー周りのオートメーションに合わせて、エミッター周りにオートメーションパスを作成することができるようになりました。
最後に、2つのチェックボックスの名前を変え、動作はそのままで、目的を分かりやすくしました。
- "Follow Listener Orientation"の名前を、"Hold Listener Orientation"に変えました。
- "Update at each frame"の名前を、"Hold Emitter Position and Orientation"に変えました。
Wwise Reflectの改善
- 各種Acoustic Textureに割り当てられた色を使い、Game Object 3D Viewerでプロファイリングできるようになり、3Dアプリケーションがどこで、どのAcoustic Textureを使っているのかを識別するのに、大変便利です。
- ディレイラインを細かく設定できるようになり、初期反射のドップラー効果を減少させたり活用したりできるようになりました。
Unity Integrationの改善
- プロファイラーが使うコミュニケーション設定を、Unity Editorに対して公開しました。
- APUヒープサイズがUnity Integrationから設定できるようになりました。
- 新しく追加されたC# WAAPI Clientクラスのおかげで、Wwise AuthoringツールとWAAPI経由でやり取りするためのスクリプトを、ユーザーが自分で書けます。
- 様々なメモリプールサイズを定義するWwiseの初期化設定を、プラットフォームごとに、Unity Editorから定義できます。
UE4 Integrationの改善
- Wwise Integrationで、オーディオインプットのサポートが公開されました。この機能を拡張すれば、ボイスチャット用のルーティングを提供できます。
- EventとSoundBankのコールバックが、Blueprintに対し公開されました。
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