レッスン 4

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レッスン 4:スペースの作成

目を閉じて、あなたをとりまく音に耳をすませてみてください。おそらく遠くに鳥のさえずり、頭の上を飛ぶ飛行機、時を刻む時計の音などが聞こえるでしょう。目を閉じた状態で、これらの音がどこからくるのかどうやって分かりますか。その音は右、それとも左から、近くから、または遠くから聞こえますか。あなたがこれらを判断する能力は物理法則によるものです。右側からやってくる音は、左耳よりも右耳に早く到達して大きく聞こえ、人間の脳はその差を素早く認識することで、音が実際に右側からやってくるという感覚をつくり出します。遠くにあるものは、ボリュームだけでなく響きも全体的に小さくなり、それは、空気中を通過しにくい音の周波数があるためで、あなたからの距離によって音の質全体が変わります。

オーディオエンジニアは、ボリュームやパンニングの制御などを使いこなし、あなたがスピーカーセットから聞こえてくる事前に録音された素材を聴く時に、空間という感覚を再現させます。音楽エンジニアはボリュームとパンニング制御により、リスナーに認識してもらいたい音像を描きます。例えば、ギタリストがステージの左側、もしくは右側に立っているか。映画やTV向けのオーディオでは、スクリーン上に映るイメージがあり、サウンドエンジニアは上記の制御を使用してビジュアルにマッチする聴覚イメージを制作します。仮に、画面の右側から話をしている男性の声が左側から聞こえたら没入感がそがれることでしょう。ビデオゲームにおいても、映像がスクリーン上にある映画やTVのためのオーディオと同様ですが、大きな違いはゲームでは表示されるイメージがどのようなものになるか予測できず、それはゲームをプレイするプレイヤーによって決定されます。こうした背景から、ゲームオーディオエンジニアは従来の方法でボリュームやパンニングの制御を使用することができません。Wwiseのようなオーディオエンジンは、ゲームの予測不可能な流れに対応できるように、ゲームがリアルタイムでオーディオのミキシングを自動的に制御する特殊なシステムを用いています。


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