Wwiseに組み込まれたWwise Spatial Audioは様々なスペーシャルオーディオ(spatial audio)機能を集めたもので、それに合わせたインハウス開発やサードパーティ提供のプラグインも、シームレスにWwise制作ワークフローに導入できます。Wwise Spatial Audioが得意とするのは、音の伝播、バーチャル音響、そして空間情報を利用した音のレンダリングなどです。Audiokineticが継続的に研究を深めている分野で、今後も数々の新たなスペーシャルオーディオ機能、プラグイン、パートナー企業との連携などが見込まれます。
ジオメトリ
Wwise Spatial Audio Geometry APIは、エミッターやリスナーのポジションと、ゲームの(一般的に簡素化された)ジオメトリの、そのままの状態のトライアングルを使い、ダイナミックアーリーリフレクションをシミュレーションするためにイメージソースを計算してWwise Reflectプラグインと合わせて使います。サウンドデザイナーは距離や素材に基づいてプロパティ設定を変えることで、イメージソースのポジションからアーリーリフレクションを発生させる過程を、Wwise Reflect上で直接コントロールできます。
Rooms and Portals
Wwise Spatial AudioモジュールでRooms and Portalsという単純でハイレベルな抽象化されたジオメトリが公開されるので、ほかの部屋に配置されたエミッターからくる音の伝播を効率的にモデル化できます。部屋に関係する音の伝播の主な特徴は、リバーブの回析、カップリング、そしてスペーシャリゼーションです。Wwiseでサウンドデザイナーが使えるツールを有効活用して、オーディオへの最終的な変換を、完全にコントロールできます。さらに、ゲームエンジンに左右されるようなレイキャストに基づくオブストラクションは、ゲームエンジンによってかなり異なり、パフォーマンス上の負荷が一般的に大きいので、リスナーと同じ部屋にあるエミッターだけに制限することができます。

Wwise Core
3Dバスは、サウンドやリバーブのグループを、信号フロー内の好きなところでサブミックスして、さらにサブミックスを3Dワールド内に配置してくことで、音伝播の高性能なソリューションに使える部品を開発者に提供します。このようなサブミックスが、ダイナミックな部屋出入口や方向性のあるリバーブなど、スペーシャルオーディオのエフェクト実装に重要な要素となります。
Wwiseボイスパイプラインはアンビソニックスを完全にサポートしているので、簡単にアンビソニックスファイルをインポートしたり、他のコンフィギュレーションからアンビソニックスフォーマットにサブミックスしたりできるので、増えつつあるアンビソニックス対応プラットフォームで再生できるアンビソニックス出力の実現が可能です。このサラウンドサウンドフォーマットはクロスプラットフォームのオーディオ提供ソリューションとして、リスナー周囲の音場を球体として表し、スピーカーコンフィギュレーションやバイノーラルフィルターに依存しません。Wwiseのアンビソニックスの概要。
吸音素材(acoustic texture)をWwise Reflectプラグインと合わせて利用して、反射面で木、コンクリート、石こうボードなど様々な自然の音に似た音を反射面で出せるようにします。壁面の粗さや特定の周波数に適用するダンパー量などをパラメーターで設定して、どのような素材でも適合する音を確保できます。
Wwise プラグイン
Audiokineticはインタラクティブサウンド特有のデザインニーズに応える複数のプレミアプラグインを開発し、Wwiseエクスペリエンスを進化させました。
パートナープラグイン
Audiokineticは業界をリードするオーディオデベロッパーとのパートナーシップを通じて、各種プラグイン製品を提供していきます。
コミュニティプラグイン
コミュニティプラグインはコミュニティが開発して維持するプラグインのことです。自分でプラグインを制作したいと考えている方は、Wwise SDKで詳しく知ることができます。また、新しいWwiseオーサリングAPIを使うと、どのようなエンジンやツール、アプリケーションでも、Wwiseを総合的にインテグレートできるので、見てみてください。
Resonance Audio SDKのWwise版は、Googleのプラグインで、これを使うとモバイルやデスクトップ(Android、iOS、MacOS、Windows、Linux)などのVR、AR、ゲーミングの各種プラットフォームに、高品質のスペーシャルオーディオを導入できます。このパッケージに2つのプラグインがあります: Resonance Audio Rendererは、Wwiseアンビソニックスパイプラインを使って音源をバイノーラル技術でスペーシャル化する、オーディオエフェクトのプラグインです。Resonance Audio Room Effectsは、部屋の3Dモデルの特徴をもとに計算したアーリーリフレクションやレイトリバーブを使い、環境内にある各音源の室内音響をシミュレーションできるミキサープラグインです。
Oculus Spatializer Plugin (OSP) はAudiokinetic Wwiseツールセットにアドオンで使えるプラグインで、モノフォニック音源とユーザの頭部位置の相対的な関係を利用して、3D空間で音源をスペーシャル化します。
VisiSonics作成のRealSpace™ 3D Audioを使うと、音を3D仮想空間に自由に正確に配置でき、音源がリスナーに対してリアルな方向性、距離感、奥行き、そして動きを持っているかのように、標準のステレオヘッドフォンで聞くことができます。聴覚的に感じ取れる環境を再現して、音を通した完全な没入感が体感できます。VisiSonicsが独自開発した科学的なアルゴリズムとハードウェアで、リスナーは自分が実際にシーン内に存在しているように感じます。
Steam Audioは、環境とリスナーのシミュレーションを統合できる多彩な機能のオーディオソリューションです。HRTFがVRの没入感を大幅に改善して、物理的な音の伝播がVR環境に反応し続ける音を繰り返し再現することで、音による没入感が完成します。
インテグレーション
Wwise Spatial Audioは、インハウスで開発したゲームエンジンや業界トップの商用ゲームエンジンなどに簡単にインテグレーションできます。Wwise Unrealプラグインと、Wwise Unityプラグインには、Rooms and Portals、3D positioned Sound SFX、そして音響テキスチャなど、ゲームでスペーシャルオーディオコンポーネントのインテグレーションを可能にする様々な機能があり、WwiseオーサリングツールのReflectプラグインなどと合わせて使えます。
Unreal 4
Unreal 4におけるWwise Spatial Audioの使用について、さらに詳しく
Unity
UnityにおけるWwise Spatial Audioの使用について、さらに詳しく
Wwise Audio Lab
管理されたバーチャル環境で、アイデアのプロトタイプを作成して、複数のアプローチを比較した上で、結果を磨き上げることができます。
Wwise Audio Lab (WAL)は、Unreal Engine 4で開発したオープンソースの3Dゲーム風環境で、Mac、Windows、Oculus、HTC Viveで稼働します。様々なスペーシャルオーディオ方式が試せ、例えばジオメトリ情報を取り込んだダイナミックアーリーリフレクション、音響ポータル、リバーブの方向設定などがあります。マップ内に配置された情報ノードで音伝播の現象を確認したり、ゲーム内のオプションを選択してスペーシャルオーディオの様々なアプローチをその場で比較したりできます。WALはスペーシャルオーディオ機能の試行錯誤を念頭に設計されましたが、今後のプロジェクトで採用するツールや方式の最高の組み合わせを見つけたいユーザは、プロジェクトを完全にカスタマイズして利用できます。