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HDRの追加情報

あるサウンドのエンベロープは、他のサウンドに影響するだけで、そのサウンド自体に影響を与えないことを充分に理解してください。この特徴こそ、HDRシステムとオーディオコンプレッサーの一番の違いです。最も大きいサウンドは随時、そのサウンドのピーク値によって調整されますが、自分自身のエンベロープの影響を受けないので、HDRシステムサウンドがトランスペアレントに聞こえます。その結果、エンベロープを使用すると、インプットされる複数のサウンド間のレベル差は厳密には守られません。つまり、前述の通り、オーディオシーンにおいて様々な「それぞれのラウドネス」を有する複数のサウンドをブレンドできるというメリットがあります。ただし、HDRウィンドウの移動が激しいと、オーディオシーンのリアリズムが多少失われたように感じられることがあります。HDR画像処理で細かいトーン領域を大量に使うと、同じ現象が発生します。インターネット上には、現実的でないHDR写真の例が沢山あります。HDRスレッショルドより上のサウンドレベルを設定する時は、慎重に進め、つまり適当に数値を入れ込むのではなく、注意してレベル設定を行い、大きいサウンドのスペースをミックスの中で確保できるように、エンベロープを設計してください。

エンベロープはメモリを消費するので、使わないエンベロープは有効にしないでください。HDRスレッショルドより上にいくことのない小さいサウンドのエンベロープは無意味なので、そのようなエンベロープは無効にします。

アクティブレンジ周辺を上下するエンベロープは、望ましくない状況を引き起こすことがあるので、注意してください。下図の例では、長い爆発音がアクティブレンジを出入りするため、HDRウィンドウが何回も急激に移動します。この場合、エンベロープの精度を下げたり、マニュアル編集したりしてください。さらに、現実と正確に一致しないようなエンベロープを巧みにデザインして、サウンドの初期インパクト中だけオーディオシーンのダッキングを行い、地響き部分では早めにリカバリさせても良いでしょう。

グラフの頂点が少ないシンプルなエンベロープの方が、オーディオシーンの不規則な振幅変動が少なく、一般的に有利です。

図30.21 エンベロープ編集(a)

エンベロープ編集(a)

図30.22 エンベロープ編集(b)

エンベロープ編集(b)

図30.23 エンベロープ編集(c)

エンベロープ編集(c)

(a)では、爆発サウンドのエンベロープの、ソースエディタ画面が表示されています。赤丸は、アクティブレンジより下のポイントを示します。再生中にエンベロープがROIを出たり入ったりするため、HDRウィンドウが激しく動きます。その影響を受けたバックグラウンドサウンドのボリュームの極端な結果が、アウトプットに明確に出ます。この問題を解決するために(b)では、エンベロープをマニュアルで編集し、問題の2点を排除しています。前述の通り、爆発サウンドのエンベロープを編集しても、HDRウィンドウのみ、つまり他のサウンドのみが影響を受け、爆発サウンド自体は影響を受けません。また、デザイン上の観点から、ダッキングを爆発サウンドの初期インパクト期間だけにして、地響きの部分で早めに他のサウンドをフルボリュームで発揮させたいと考えれば、(c)のようにエンベロープを編集できます。興味深いことに、爆発音は3例どれでも全く同じように再生されます。


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