レッスン 8

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スティンガーのサイドチェイン

レッスン5で、どのような音楽がバックで再生されていても再生される、2つのスティンガーを実装しました。シンバルスウェルはテレポーターを通過する時に発生して、音楽スコアに良い音楽的アクセントを提供してくれますが、プレイヤーにとって、ヘルスピックアップがある時に再生される音楽的キューほど重要ではありません。通常、ヘルスピックアップが最も必要となるのが戦いの真っ最中で、オーディオフィードバックがあれば、戦い続けることができる健康状態に戻ったことがプレイヤーにも分かります。ただ同時に、プレイヤーには大量のサウンドが聞こえていて、敵や自分のウェポンや高まるミュージックなどが耳に入ってきます。これだけサウンドがあると、ヘルスピックアップのスティンガーを聞き逃しかねないので、確実に聞こえるように、一時的にメインの音楽のボリュームを下げます。

ここで使うアプローチが、サイドチェインと呼ばれる設定です。この用語は、従来のアナログオーディオシステムに由来し、1つのチャンネルのオーディオ信号を分けて、別のチャンネルに送信して、そこでソースシグナルとして使い、そのチャンネルのボリュームなどのプロパティを修正するのに使われます。Wwiseのユーザーインターフェースには個別のサイドチェイン機能を表示していませんが、WwiseのオーディオメーターからGame Parameter–RTPCを生成するユニークな機能を使えば、それをどのオブジェクトでもほぼすべてのプロパティにマッピングできるので、他のオーディオバスのボリュームなどにマッピングすれば、サイドチェインと同じような結果を簡単に得られます。このアプローチは、多くのDAWで見られる従来のサイドチェイン機能を使ったコントロールの範囲を超える、絶大な柔軟性を提供します。

[ヒント]

似た成果を得られるもう一つのアプローチが、Wwise-101コース、レッスン 5で学習したダッキング機能です。違いは、ダッキングではソース側のバスで少しでもシグナルが検知されると、常にターゲット側のバスのレベルを事前に決めた量だけ下げるという点です。ダッキングが稼働中の時の、ソースバスの実際の音量は、ここでは考慮しません。そこで、ソースバスのボリュームが上下しても、ターゲットバスは完全な量よりも低いまま(つまりダッキングされたまま)となります。ここで説明したサイドチェイン方式の方が、ソースバスのボリューム変動がダイナミックにターゲットバスに伝わるので、柔軟性が高まります。


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